方言の魅力 横山 聡

今は違和感全くゼロですが、新聞社時代に初めて北海道に赴任したときに思わずクスっと笑ってしまった電話でのやり取り、言葉があります。
「もしもし、○○でした」
始まりから、いきなり過去形。誰からだと思いました? 私、○○ですよー!
そんな感じなのかなと勝手に考えると、茶目っ気にあふれて、とても相手の心を和ませて
くれます。それを知ってしまうと、今まで使っていた「○○です」が、うーん、少し事務的で緊張してしまうように思えてきます。
「以上でよろしかったです?」
居酒屋でメニューを頼むときも、注文後にホールの人がそう聞きます。これも慣れてしまうと「よろしいでしょうか?」より、カワイイ感じです。今や「よろしかったですか?」は日常会話になっています。
北海道弁のすごさはまだまだあります。
「ゆるくないね」
大雪が降りました。水道が凍りました。吹雪いています。明日どうする?
しかし、「キツイ」「苦しい」とは言わず、お互いが会ったら、「緩くないね」と言う。この言い方は感動ものです。
室蘭では豚の串焼きを「焼きとん(豚)」ではなく「焼きとり」。
様々なバックグラウンドの人たちが、様々な地域から入植し、開拓し、ニシンを獲って栄え、工場や港で働いた。そんな歴史、生活の中から言葉は生まれたのではないかと推測します。
ファミリーレストランでは注文もタブレット、配膳もロボットがする時代。
北海道でもその光景が当たり前になると想像すると、少し寂しいです。よろしかったです?