「道はひとつではない」〜キャンスコ編集部の大学生と懇談

 学生新聞「キャンパス・スコープ」編集部の学生とNPO法人ヴォイスの吉田勝己理事とのトークセッションが4月17日、東京・大手町の読売新聞東京本社で行われました。

 キャンパス・スコープ(キャンスコ)は、主に首都圏の大学生と読売新聞が共同で作っている学生新聞で、毎年秋に約10万部を印刷し、大学、高校、図書館などの公共施設に配布されます。この春には、新たな挑戦を始めた人たちを応援する「春の増刊号2025」が発行されました。

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 吉田理事は、高校卒業後の1971年に外資系企業の静岡支店に就職しましたが、初日から経験したことのない屈辱を感じ、以前から漠然と思っていた海外留学を真剣に考えるようになりました。会社への違和感を感じながらも、渡航費用をためるために4年間務めて退職し、英国に留学しました。英国のリゾート地でナイトクラブの用心棒などをしながら地元の工業高校に通ってロンドン大学に進学。工学博士号を習得しました。約10年間の英国滞在の後に帰国し、外資系の企業の社長などを務めました。退職後は中国語はまったく話せないにもかかわらず、「自分の目で中国を見てみたい」と遼寧省大連市に1年間滞在。語学学校に通いながら生活しました。現在、ヴォイスのホームページでコラム「Other voices」を連載しています。

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 セッションには、キャンスコ編集部の大学生12人が参加しました。吉田理事は、「道はひとつではない」のテーマで英国や中国での体験を語りながら、「金太郎飴のように、同じような人ばかりが集まっても物事はうまくいかない。考えているだけではなく、何かを始めれば、その中で次のステップが見つかる」と強調しました。

 学生からは「目標を達成するために必要なことは?」「自分を見つけるために有効な手段は?」などさまざまな問いかけがあり、吉田理事は「実は私は小心者。石橋を300回叩いても渡らないほどだ。でも、ある程度メドが立ったら、公表してしまう。そうすれば実行せざるを得なくなる」「私の例だと、外から日本を見て、新たな日本、日本人が見えた。その中で自分自身が見えたような気がする。自分の好きなこと、得意なことを自覚するのは、それに沿って生きなくても自分自身を失わないために大切なことだと思う」などとアドバイスしました。

 学生は、キャンスコ取材と記事執筆のトレーニングも兼ねて、それぞれ読売新聞に掲載されている人物紹介記事「顔」にならって吉田理事の話を記事にまとめました。